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九州大学応用力学研究所大気変動力学分野鵜野研究室では、科学技術振興事業団の計算技術活用型特定研究「東アジア域の地域気象と物質輸送モデリングの統合化」の一部として開発中のアジア域の「化学天気予報システム(Chemical weather FORecasting System; 通称CFORS)」を完成し、運用を2001年1月から継続しています。
従来、「天気予報」は、天気の変化を予報するものでしたが、このシステムは、大気汚染質や黄砂等の大気中の化学物質の輸送を任意の空間スケールで連続的に予測する「化学」天気予報システムです。最新の知見にもとづく地域気象モデルと物質輸送モデルを結合して用い、3日先までの化学物質の輸送・拡散・除去過程をシミュレートしています。このような気象モデルと結合された物質輸送モデルをルーチンで利用するシステムを用いることで、越境大気汚染と黄砂、地域大気環境の予測に威力を発揮することが期待できます。システムは、
・CFORS ftp マネジャー:モデル計算に必要なNCEP(全米環境予報センター/NOAA)や日本の気象庁JMAからの気象データを取得し、データ解析の前処理を行う。
・地域気象モデルRAMS version 4.3.0 をNCEPやJMAを境界条件として用いて、3日先までのシミュレーションを行う。
・RAMSに組み込まれたオンライン物質輸送モデルで、ダスト・硫酸塩・黒色炭素・海塩粒子・CO・炭化水素・ラドン等の輸送計算を行う。
・CFORS web マネジャー:シミュレートされた結果をポストプロセスし、画像の形でweb に掲載する。
の主に4つのモジュールで構成されます。
CFORSの運用はオートパイロットで行っており、システムに異常が生じない限り計算は午前8時頃にwebページに自動的に掲載されます。計算は、開発時はPentium-III 600MHzのLinux 計算機を17台用いたBeowulf型並列計算機で行っていましたが、現在はIntel Xeon 2.8 GHzのLinux 計算機1台で行われています。
このシステムは、2001年春に実施されたアジア域を中心とした国際共同観測ACE-Asiaの観測計画をサポートすることを目指して開発されましたが、結果が好評であったため現在も運用されています。モデルの計算領域はアジア域をほぼすべてカバーする範囲を水平分解能80km、鉛直方向23kmの高度まで網羅します。詳しくは、以下のCFORS web pageをクリックしてみてください。
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