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[ セミナー ]

海洋とプラズマにおける乱流理論 - 類似性と共通性 -

 
各 位

「海洋とプラズマにおける乱流理論 - 類似性と共通性 -」と題したセミナーを以下の日程で開催します。
ご興味のある方はご参加ください。

日 時 2017 年 6 月 15 日(木) 14 時 50 分 ~ 16 時 20 分
場 所 応用力学研究所 2階 大会議室
 
題 目 海洋内部における波動スペクトルの形成とエネルギー伝達機構
講演者 大貫 陽平(応用力学研究所)
Abstract  海洋や大気中には密度成層と地球自転の効果を復元力とした波動が存在し, 内部慣性重力波(あるいは単に内部波)と呼ばれる. 海洋内部波は主に風や潮汐からの強制によって生じ, 海洋深層における主要なエネルギーキャリアとして数千kmを伝播しながら周囲の波と非線形的な干渉を引き起こす. その過程で波のエネルギーは空間スケールの小さな成分へと順次受け渡されていき(エネルギーカスケード), 最終的には微細な乱流として粘性散逸する. 失われた運動エネルギーの一部は密度混合を通じて位置エネルギーへと変換され, それが地球規模の海洋循環の駆動源となる. 海洋深層を含めた気候システムのエネルギーサイクルにおいて, 内部波の力学は極めて重要な意味をもっている.
 興味深いことに, 海洋内部波のエネルギースペクトルは, 広大な海洋において共通の特徴的な構造を有していることが知られる. このスペクトル構造は, エネルギーの供給と散逸のスケールが大きく隔てられていることに起因すると考えられ, 非平衡散逸系の(統計的)定常解として解釈されることが多い. 波動スペクトルの形成とその中でのエネルギー伝達は, 海洋物理学を含めた幅広い分野において共通のテーマである. 特に非線形性が弱い場合には, 波動間の非線形共鳴によるエネルギー伝達機構が支配的となる. 共鳴の発生条件は波の分散関係によって規定され, 内部慣性重力波について言えば三波での共鳴が基本である. 無数に存在する波数成分の間で起こる共鳴過程を記述する方法として一般的に用いられるのが「運動学的方程式」であり, これはスペクトルの時間変化を統計力学的に表したものである. 運動学的方程式を用いることで, 例えば特定成分のエネルギーが共鳴によってどれだけ急速に失われるのかを計算することが可能となる. エネルギー伝達の原理的な側面については古くから研究が進められてきたが, それに対して本研究では気候モデルへの応用に向けた取り組みとして, 海域ごとに異なる内部波の波形構造を考慮して運動学的方程式の再定式化を行い, 主要な潮汐成分波に作用する共鳴の強度を計算した. その結果, 共鳴現象の一種である parametric subharmonic instability (PSI)が効果的に作用する緯度帯にピークをもつ特徴的な空間分布を再現することに成功した. 講演では, 計算結果の解釈やその数理的側面, さらには実用可能性についての解説を行う.
 
題 目 海洋乱流とプラズマ乱流の類似性
講演者 小菅 佑輔(応用力学研究所)
Abstract  乱流は様々な物理系に存在する。大気、海洋などの流体乱流から、天体や核融合におけるプラズマ乱流など、様々な乱流が存在し、それぞれの系における構造形成や輸送を規定する。本講演では、乱流の一例として海洋乱流とプラズマ乱流を取り上げ、その理論的側面について説明する。両者に共通する問題として、非線形相互作用の特徴や、波数空間エネルギー移送における波動の役割、非線形的に現れる巨視的な流れ構造について触れる。それぞれのシステム特有の現象としてではなく、共通する物理過程に焦点を当てた説明を行う。一見違った系に潜む、普遍的なメカニズムを抽出する過程について理解を得ることを目標とする。
 
 

[問い合わせ]
核融合力学部門 先進炉材料分野
稲垣 滋
 
 

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